kaimu21のブログ

書籍などを紹介したり、日々疑問に思ったことなどを書いていきたいと思います。

ナイルパーチの女子会、読了!


 なんとなく面白いドラマがないかU-NEXTで探していたところ、
おすすめにナイルパーチの女子会という一風変わったタイトルが表示されていました。
気になって動画を再生したところ面白くて一気に見終わっちゃいました!


 小説もあるという事を知り原作を読んでみたいという欲に駆られながら
即購入、原作もやっぱり面白かった〜。


ということで今回はナイルパーチの女子会(小説)について紹介していきたいと思います。

ナイルパーチの女子会 (文春文庫)
ナイルパーチの女子会 (文春文庫)
文藝春秋
Digital Ebook Purchas


  1. 本の概要

 タイトル:ナイルパーチの女子会       著者:柚木麻子(ゆずき あさこ)


 ジャンル:エンタメ ミステリ        出版日:2015年3月30日


 ページ数:解説あわせて403ページ




 2  本の要約


 商社で働く志村栄利子(しむら えりこ)と、その栄利子が日課のように読んでいて、ファンでもある主婦ブロガーの丸尾翔子(まるお しょうこ)、性格も境遇も対照的な二人は、ジゼルという喫茶店で偶然に出会う。意気投合かと思いきや、徐々に二人の間に不穏な空気が流れ始める。
 友達とは何か、普通とは何か人間関係が苦手な二人が世間を相手に苦悩する。




 3  本の見どころ
友達
 この作品では度々、友達というワードが出てきますが、友達の定義って何だろうと改めて考えさせられました。


利害関係や波長が合うから友達だという人もいるだろうし、一回会っただけで友達という人もいるのでしょう。


それぞれいろんな考え方があるので、時には互いに誤解を招くこともあるのだろうと思います。志村栄利子も、友達の定義が世間とは逸脱していることで、人との距離感をうまく掴めなかったのかもしれません。しかもその事に自分で気づいてる節がないのでなおさら哀れですよね


普通
 主人公二人は現状に不満を持ち、現状を許しながら現実逃避を繰り返しています。
一般的に普通と呼ばれている人たちのことを嫉妬や羨望な眼差しで見ています。


例えば商社で働く志村栄利子はみんなのように普通に友達ができない事にコンプレックスを抱いたり、ブロガーの丸尾翔子は普通の奥さんが日々行っているノルマを思うようにできず、怠惰な自分に嫌気を感じてしまいます。


そんな二人は少しでも世間との溝を埋めるために努力しますが普通に近づこうとすればするほど関係がこじれたり、自分を取り繕ったりして、心身共に疲弊していく様は、矛盾していて皮肉なものだなと思った。


女の幻想
 ドラマや映画、漫画や小説などあらゆる媒体で女同士のドロドロした陰湿さなどが描かれている事が多いと思います。そういう社会の固定観念に捉われ、知らず知らずの内に女同士を競い合わせていると考えたらどうだろう?


今まで見えていなかった視点なので衝撃を受けました。潜在的に女性はそうだと決めつけるのは良くないなと思いました。男同士だって陰湿な部分はありますし、優越感に浸ることもあるのに不思議ですね。


そういう新しい発見ができるのも小説の醍醐味だと思います。




 4  本の面白い点
 
 本のタイトルでもあるナイルパーチとは実は魚で、ナイル川流域に生息しています。侵略的外来種にも指定されている程の巨大な肉食魚です。


移入により人間の手でビクトリア湖に放流された事によって、そこにもともと生息していた在来種が食い尽くされて生態系が破壊されてしまいます。


このナイルパーチを志村栄利子に投影させながら物語を進めていく工程はとても秀逸で印象に残りました。
案外ナイルパーチが擬人化したらこんな感じかも!とか思ったり思わなかったり、、、




 5  感想、おすすめ
 狂気的な思考や行動が多々あるので共感できない部分もあると思いますが、必ず何処か自分と当てはまる境遇や心情を見つけられると思います。
それほどこの作品には人間関係の歪な要素が一つに凝縮されているなと感じました。


一見、対照的な二人でも共通点がたくさん見つけられるのも面白いです。ただ、お互いベクトルが違う方向に向いてるので勿体無いなと思いながら読んでいました。


家族や友人、同僚など人間関係があまりうまくいっていない人達や現状を変えたい人たちにとっては、何か参考になる部分はあるんじゃないかなと思っています。また、内容は女性中心だとは思いますが男性こそ読めば新しい視点が生まれると思うし、男性から見た女性の世界が全てではないと、もっと俯瞰的な目線で物事を考えられるのではないかと思います。


 ここまで最後まで読んでくれた方ありがとうございます。
では、また〜